香港競馬は、日本語で追いかけている人がとても多いのに、仕組みの説明がまとまっている場所がほとんどない分野です。年2回の大きなG1デー、JRAでの発売、現地のパリミュチュエル、そして固定オッズのブックメーカー——同じレースに、性質の違う「オッズ」が3つ並んでいます。このページでは、その3つがどう違うのかを数字で揃えたうえで、香港特有のルールのうち知らないと確実に戸惑うところをまとめます。事実関係はJRAが公表している海外競馬発売のルールと各国の競馬の解説から取りました。(最終更新:2026年8月)
※はじめに(必ず確認してね):本記事は情報提供・解説を目的としたもので、賭けを勧めるものではありません。賭けの可否・利用できる方法は読者の居住国・地域によって異なります(→賭ける前の注意点)。20歳以上・余剰資金の範囲で、のめり込みにはくれぐれもご注意ください。
- 年2回の大舞台と、7つのG1
- 同じレースに、オッズが3通りあります
- JRAの払戻率を、ブックメーカーの物差しに換算する
- 馬番号とゲート番号が一致しません
- 知らないと戸惑う香港のルール
- 香港競馬という市場(規模と構造)
- 賭ける前の注意点
- よくある質問
年2回の大舞台と、7つのG1
香港の国際級のG1は、12月の香港国際競走と4月の香港チャンピオンズデーに集中しています。どちらもシャティン(沙田)競馬場で行われ、JRAはこの両方を馬券の発売対象にしてきました。以下はJRAの「発売レース一覧」に掲載されている実績です。
| 開催 | レース | 距離 | 直近の優勝馬 |
|---|---|---|---|
| 香港国際競走 2025年12月14日(日) |
香港ヴァーズ(G1) | 芝2,400m | ソジー |
| 香港スプリント(G1) | 芝1,200m | カーインライジング | |
| 香港マイル(G1) | 芝1,600m | ヴォイッジバブル | |
| 香港カップ(G1) | 芝2,000m | ロマンチックウォリアー | |
| 香港チャンピオンズデー 2026年4月26日(日) |
チェアマンズスプリントプライズ(G1) | 芝1,200m | カーインライジング |
| チャンピオンズマイル(G1) | 芝1,600m | マイウィッシュ | |
| クイーンエリザベスⅡ世カップ(G1) | 芝2,000m | ロマンチックウォリアー |
短距離から中長距離まで、距離の階段がきれいに揃っているのが香港の特徴です。1,200m・1,600m・2,000m・2,400mが同じ日に並ぶ構成は、他の国際開催にはあまりありません。
なお香港には、この国際G1とは別に国内体系のG1もあります。3歳以上の三冠——スチュワーズC(芝1,600m)・香港ゴールドC(芝2,000m)・チャンピオンズ&チャターC(芝2,400m)——を制したのは史上2頭だけで、1993-1994年シーズンのリヴァーヴァードンと、2024-2025年シーズンのヴォイッジバブルです。4歳馬対象のクラシック三戦(香港クラシックマイル・香港クラシックC・香港ダービー)も、現地では国際G1に劣らない注目を集めます。
開催日は主催者の発表次第で動きます。JRAの発売対象も「今後の予定は決まり次第、お知らせいたします」という運用で、2026年分は本記事の執筆時点(2026年8月)で10月の凱旋門賞までが掲載されています。最新の対象レースはJRAの発売レース一覧でご確認ください。同じ海外G1の追い方は海外競馬のガイド、秋の欧州・米国開催は凱旋門賞とブリーダーズカップのページで扱っています。ブックメーカーでの競馬の賭け方そのものは競馬のガイドにまとめています。
同じレースに、オッズが3通りあります
ここが香港競馬でいちばん混乱しやすいところです。ひとつのレースに、性質の異なる価格が3つ同時に存在します。
| 現地(香港ジョッキークラブ) | JRAの海外競馬発売 | 固定オッズのブックメーカー | |
|---|---|---|---|
| 方式 | パリミュチュエル | パリミュチュエル | 固定オッズ |
| プール | 現地+ワールドプール等 | JRA独立プール | プールなし(業者が価格を提示) |
| 払戻が決まる時点 | 締切後 | 締切後 | 賭けた時点 |
| 取り分の決まり方 | 券種ごとに固定 | 券種ごとに固定(中央競馬と同じ) | マーケットごとに変動 |
| 買える場所 | 香港 | 日本国内のみ | 業者と居住国・地域による |
JRAは発売のルールに、はっきりこう書いています——「JRA独立プール(日本国内のみで発売)」「独立プール方式のため、日本国内独自のオッズとなります」。つまり日本で投じられた資金だけで配当が決まる別の財布で、現地のオッズとは一致しません。同じ馬の単勝が、香港では低く、日本では高く(あるいはその逆に)出ることが普通に起こります。

読者にとっての実務的な違いは、この一点に集約されます。パリミュチュエルの2つは買った時点で払戻が分からない——締切後に的中者で分け合うからです。固定オッズだけが取った価格で確定します。オッズが動いたあとで「思っていた配当と違う」という事故が起きるのはパリミュチュエル側だけで、これは有利・不利ではなく仕組みの違いです(→ブックメーカーとは)。まったく同じ構図は凱旋門賞のオッズのページでも扱っていて、現地オッズ・JRA発売・ブックメーカーの3者が並ぶのは香港だけの話ではありません。
なお、JRAの海外競馬発売は上表のとおり日本国内のみです。日本国外にお住まいの読者にとっては、この選択肢はそもそも存在しません。現実に比較の対象になるのは、現地プールと固定オッズの2つになります。
JRAの払戻率を、ブックメーカーの物差しに換算する
「固定オッズのほうが還元率が高い」とよく言われます。2択のマーケットについてはそのとおりですが、十数頭が走る単勝では話が変わります。ここは推測ではなく、両者を同じ物差しに載せて確かめられます。
まず公表値。中央競馬の払戻率は次のとおりで、根拠は競馬法第8条(払戻対象総額を売得金の100分の70以上・農林水産大臣が定める率以下と規定し、その率が100分の80)です。JRAの海外競馬発売は「払戻率=中央競馬と同じ」と明記されているので、香港のレースを日本で買う場合もこの表がそのまま当てはまります。
一方、ブックメーカーの取り分は合計提示確率(オーバーラウンド)で測ります。各出走馬のオッズの逆数を全部足した値で、100%を超えたぶんが業者の取り分です。還元率 = 1 ÷ 合計提示確率。この2つは同じ量の裏表なので、換算できます。
| JRAの券種 | 払戻率 | ブックメーカー換算(合計提示確率) |
|---|---|---|
| 単勝・複勝 | 80.0% | 125.0% |
| 枠連・馬連・ワイド | 77.5% | 129.0% |
| 馬単・3連複 | 75.0% | 133.3% |
| 3連単 | 72.5% | 137.9% |
逆向きにも並べておきます。
| 合計提示確率 | 還元率 | JRAとの比較 |
|---|---|---|
| 105% | 95.24% | 大きく上回る |
| 115% | 86.96% | 上回る |
| 120% | 83.33% | 上回る |
| 125% | 80.00% | 単勝とちょうど同じ |
| 130% | 76.92% | 下回る |
| 135% | 74.07% | 下回る |
境界は125%です。十数頭立ての単勝マーケットで合計提示確率が125%を超えていれば、その業者の還元率はJRAの単勝を下回ります。「固定オッズだから有利」ではありません。2択のサッカーの勝敗マーケットで見かける105%前後と、多頭数の競馬の単勝は、まったく別の水準です。頭数が増えるほど1頭あたりの価格にマージンが乗る余地も増えるので、その場で足し算をして確かめる以外に判断のしようがありません。計算の手順はオッズの見方に、合計の考え方は合成オッズにまとめています。
もうひとつ、忘れてはいけない前提を添えておきます。還元率が高いことは「勝てる」ことではありません。還元率95%は「賭けた総額の5%が平均して減っていく」という意味で、減り方が緩やかというだけです(→儲かるのかを計算したページ)。
馬番号とゲート番号が一致しません
実務でいちばん事故が起きやすいのがここです。JRAでは馬番号を抽選で決め、ゲート番号は馬番号と同じ——馬番5番の馬は5番ゲートから出ます。
香港は違います。馬番号は(1)負担重量の重い順、(2)レーティング順、(3)馬名のアルファベット順という決まった順序でふられ、ゲート番号はそのあと別に抽選されます。したがって馬番5番の馬が10番ゲートから発走するということが普通に起こります。

そしてJRAが発売する海外競馬の馬券は馬番号での発売です。枠順の並びを見て「内から3頭目」と覚えて買うと、別の馬を買ってしまいます。必ず馬番号で確認してください。
なお香港のゲート番号は内側からの順序を示すもので、出走取消があった場合(競走直前の競走除外を除く)は発走時にゲート番号が繰り上がります。ここも日本の感覚とは違う部分です。
知らないと戸惑う香港のルール
JRAが公表している「香港競馬のルール」(2026年3月現在)から、日本と扱いが異なる点を拾います。払戻に直接影響するものを先に並べました。
ノンランナー制度——レースは成立し、その馬だけ返還になる
JRAでは発走が真正でないと判断されると発走のやり直し(いわゆるカンパイ)になります。香港には、これとは別にノンランナーという扱いがあります。
- 真正な発走を受けられなかったと裁決委員が判断した馬が4位までに入線しなかった場合、その馬を「競走に参加していないものとみなす」。
- フライング等で優位を得たと判断された馬は、ノンランナーまたは失格。
いずれの場合もレースはそのまま継続して成立します。ノンランナーになった馬については、JRAが発売した馬券でも返還が行われます。ただし「失格」として扱われた場合は返還の対象になりません——ここは間違えやすいので、ノンランナーと失格は別物として覚えてください。
着順が後日変わっても、払戻は変わりません
香港にも降着・失格の裁定に対する不服申し立て制度があります。裁定の結果、後日に競走成績上の着順が変わったとしても、JRAが発売した馬券の勝馬は変わりません。払戻は現地主催者のルールで確定した着順にもとづいて一度行われ、そこで終わりです。
馬場状態は8段階。JRAは4段階に置き換えて発表します
| 香港の表記 | JRA基準 |
|---|---|
| Firm / Good to Firm / Good | 良 |
| Good to Yielding / Yielding | 稍重 |
| Yielding to Soft / Soft | 重 |
| Heavy | 不良 |
3つの表記がまとめて「良」になります。Firmの高速馬場とGoodの標準的な馬場が同じ表示になるということなので、時計を気にするなら現地表記のほうを見たほうが情報量があります。
その他、日本と違うところ
| 項目 | 香港 |
|---|---|
| 馬体重 | 競走の2日前に計測・発表(公式成績表にもその馬体重が載ります) |
| 馬齢の起算 | 北半球産は1月1日、南米産は7月1日、南半球(南米以外)産は8月1日 |
| 補欠馬 | 最大2頭。前日11時30分(現地時間)までの取消なら上位から繰上り、取消馬の馬番号とゲート番号を引き継ぐ |
| 負担重量超過 | 122ポンド未満なら1〜2ポンドの超過が可(原則として事前申告)。122ポンド以上で前検量超過なら原則騎手変更+制裁 |
| 後検量失格 | 公表された負担重量を1ポンド超下回ったら失格(JRAは1キログラム超) |
| 着差の表記 | 成績表の着差欄は1位入線馬との差(前の馬との差ではありません) |
香港競馬という市場(規模と構造)
香港競馬の性格は、この市場の構造を知っておくとよく分かります。数字はJRAの「香港競馬の概要」から引きました。
- 主催者はひとつだけ。香港ジョッキークラブという香港政府公認の非営利団体が、シャティンとハッピーバレーの2競馬場を運営しています(加えて中国広東省に從化競馬場。2026年10月頃からの定期的な開催が発表されています)。
- 売り上げは2022-2023年シーズンに過去最高の約1,410億香港ドル(当時のレートで約2兆7,000億円)。国外レースのサイマルキャスト発売や国外からのコミングリング・ワールドプールを含んだ数字です。
- 市場規模は世界3位(日本・アメリカに次ぐ)。単一の主催者としてはJRAに次ぐ世界2位で、人口1人あたりでは世界1位。人口約750万人、面積は札幌市とほぼ同じという土地でこの数字です。
- 香港には馬産がありません。競走馬はすべて国外からの導入で、内訳はおよそ未出走の新馬が65%、既走の現役馬の移籍が35%。ヨーロッパやオセアニアからの移籍馬がそのままダービーを勝つことも珍しくありません(2024年はエイダン・オブライエン厩舎からの移籍馬、2025年は豪州から移籍した馬が優勝)。
- 馬主が同時に持てるのは7頭まで(個人・共有・シンジケートの合計)。馬主になること自体がステータスとされる背景です。
- 番組はレーティングに基づくクラス編成とハンデキャップが中心。トップハンデは135ポンド(61キログラム)で固定され、レーティング1ポイント差につき1ポンドの差がつきます。
- 開催シーズンは毎年9月から翌年7月初旬。2016年からIFHA(国際競馬統括機関連盟)の定めるパートⅠ国です。
この構造が、香港のレースの質と読みやすさの両方を作っています。主催者がひとつで、馬はすべて審査を経て輸入され、番組はレーティングで組まれる——出走馬の力関係が数字で整理されている競馬だということです。一方で、市民の娯楽として定着した巨大な資金が1つのプールに集まるため、現地のオッズは非常に効率的でもあります。人気馬が人気どおりに支持される市場では、価格の歪みを探す余地は小さくなります(→勝ちすぎるとどうなるかで扱った締切オッズの話と同じ構図です)。
賭ける前の注意点
- 賭けの可否と使える方法は、居住国・地域の法律によります。JRAの海外競馬発売は日本国内のみ、ブックメーカーの利用可否は業者と居住国・地域によります(→法的考慮事項のガイド)。
- 還元率の高さは有利さではありません。本記事の換算表は取り分の大小を比べるためのもので、勝てるかどうかとは別の話です。
- 開催日・発売対象・ルールは変わります。本記事の事実関係はJRAの公表資料(2026年3月現在の各国ルール、発売レース一覧)にもとづく2026年8月時点のものです。買う前に主催者の最新発表をご確認ください。
- 馬番号とゲート番号を取り違えないでください。香港では一致しません。
- 20歳以上・余剰資金の範囲で。のめり込みや依存の兆候を感じたら、業者の自己制限ツールや相談窓口をご利用ください。業者ごとの対応の違いは選び方のガイドで確認できます。
よくある質問
香港競馬の主要なG1はいつ開催されますか?
大きな舞台は年に2回あります。12月にシャティン競馬場で行われる香港国際競走(香港ヴァーズ 芝2,400m・香港スプリント 芝1,200m・香港マイル 芝1,600m・香港カップ 芝2,000m の4つのG1)と、4月の香港チャンピオンズデー(チェアマンズスプリントプライズ 芝1,200m・チャンピオンズマイル 芝1,600m・クイーンエリザベスⅡ世カップ 芝2,000m の3つのG1)です。直近では2025年12月14日に国際競走が、2026年4月26日にチャンピオンズデーが行われました。
香港のレースはJRAでも馬券が売られていますか?
農林水産大臣が指定した競走については売られています。JRAの発売レース一覧によると、2025年は12月14日の香港ヴァーズ・香港スプリント・香港マイル・香港カップの4競走が、2026年は4月26日のチェアマンズスプリントプライズ・チャンピオンズマイル・クイーンエリザベスⅡ世カップの3競走が対象でした。ただしJRAの海外競馬発売は「日本国内のみで発売」と明記されており、利用できるかどうかは読者の居住国・地域によって変わります。
JRAで買うオッズと、現地のオッズは同じですか?
違います。JRAは発売ルールに「JRA独立プール(日本国内のみで発売)」「独立プール方式のため、日本国内独自のオッズとなります」と明記しています。つまり日本で投じられた資金だけで配当が決まる別プールで、現地の主催者プールとも、固定オッズのブックメーカーの価格とも一致しません。同じ馬・同じレースでも、3つの価格が並存することになります。
パリミュチュエルとブックメーカーは、還元率でどちらが有利ですか?
券種と、そのときのオッズ次第です。中央競馬の払戻率は単勝・複勝80.0%、枠連・馬連・ワイド77.5%、馬単・3連複75.0%、3連単72.5%(競馬法第8条にもとづく大臣指定率)。これをブックメーカー式の「合計提示確率(オーバーラウンド)」に換算すると、それぞれ125.0%・129.0%・133.3%・137.9%に相当します。固定オッズの単勝マーケットで合計提示確率が125%を超えていれば、還元率はJRAの単勝を下回ります。「固定オッズのほうが必ず有利」ではなく、その場で合計提示確率を計算して確かめる話です。
香港では馬番号とゲート番号が違うと聞きました。本当ですか?
本当です。JRAは馬番号を抽選で決め、ゲート番号は馬番号と同じですが、香港では(1)負担重量の重い順、(2)レーティング順、(3)馬名のアルファベット順で馬番号がふられ、ゲート番号はそのあと別に抽選で決まります。したがって馬番5番の馬が10番ゲートから発走することがあります。JRAが発売する海外競馬の馬券は馬番号での発売なので、枠順を見て買うときは取り違えに注意してください。
香港の「ノンランナー」とは何ですか?
真正な発走を受けられなかったと裁決委員が判断した馬が4位までに入線しなかった場合に、その馬を競走に参加していないものとみなす制度です。レース自体はそのまま成立します。ノンランナーになった場合、JRAが発売した馬券についても返還が行われます。ただしフライング等で優位を得たと判断されて失格になった場合は、返還の対象になりません。
香港競馬の市場規模はどれくらいですか?
JRAの解説によると、国外レースのサイマルキャスト発売や国外からのコミングリング・ワールドプールを含めた売り上げは2022-2023年シーズンに過去最高の約1,410億香港ドル(当時のレートで約2兆7,000億円)に達しました。市場規模は日本・アメリカに次ぐ世界3位、単一の主催者としてはJRAに次ぐ世界2位、人口1人あたりでは世界1位です。香港内に馬産はなく、競走馬はすべて国外から導入されています。
フクベット(FukuBet.asia)は、海外ブックメーカーをスポーツファンの視点で比較・解説する日本語の情報サイトです。ライセンス・オッズ・入出金・日本語対応などを一つずつ確認し、良い点も注意点も正直にお伝えしています。評価の詳しい方法はレビュー方針・評価基準、運営者については運営者情報をご覧ください。
ベッティングは20歳以上・余剰資金の範囲で楽しみましょう。ギャンブルに関する法律は居住国・地域によって異なります。 | 最終更新:2026年8月24日











